停電・災害で会社のITを止めないために|小さな会社が考えたいBCP対策

停電・災害で会社のITを止めないために|小さな会社が考えたいBCP対策
明日の朝、会社の電気が使えなかったらどうしますか?
大きな地震や台風だけでなく、落雷、設備故障、工事事故などでも停電や通信障害は起こります。
そんなとき
会社の電話が鳴らない。
インターネットにつながらない。
NASのデータを開けない。
お客様へ連絡できない。
となれば、建物そのものに被害がなくても仕事は止まります。
そこで考えておきたいのがBCPです。
BCPとは
Business Continuity Plan(事業継続計画)
の略で、災害や事故などが起きても重要な仕事をできるだけ継続し、止まった場合も早く復旧するための考え方です。
難しい計画書を何十ページも作るところから始める必要はありません。
まずは
「これが止まったら、明日の仕事で何が一番困るだろう?」
と考えることから始められます。
BCPは「絶対に止めない」ためのものではありません
どれだけ設備を整えても、すべての障害を防ぐことはできません。
だからBCPでは
止めないことだけではなく、止まったときの代替手段を考えます。
例えば
電話が使えないなら、別の方法で連絡できるか。
インターネット回線が止まったら、モバイル回線を使えるか。
停電したら、重要なネットワーク機器だけでも動かせるか。
事務所へ入れなければ、別の場所から仕事を続けられるか。
こうした「逃げ道」が一つあるだけでも、緊急時の動きは大きく変わります。
電話をクラウド化すると「場所への依存」を減らせる
昔ながらの会社電話では
会社の電話機が置いてある場所で電話を受ける
という構成が一般的です。
しかし、事務所が停電している。
道路が寸断されて出社できない。
建物へ入れない。
となると、電話を受けること自体が難しくなります。
そこで選択肢になるのがクラウド電話です。
クラウド電話とは、電話機能の一部をクラウド上で提供し、スマートフォンやパソコンなどから会社番号を利用できる仕組みです。
例えばNTT東日本の「ひかりクラウド電話」では、対応サービスを利用することで、事務所以外からスマートフォンやPCで会社の電話番号を使った発着信ができます。
これなら
「会社番号=事務所に置いてある電話機」
という依存を減らせます。
クラウド電話なら停電しても絶対安心、ではありません
ここは大切です。
クラウド化したからといって、電話が絶対に止まらなくなるわけではありません。
クラウドサービス自体に障害が起こることもあります。
インターネットや携帯電話網が利用できなければ、通信できないこともあります。
だからこそBCPでは
クラウド化することそのものより、連絡手段を一つに依存しないこと
を考えます。
例えば
会社のクラウド電話。
社員のスマートフォン。
メール。
チャット。
緊急連絡網。
複数の方法を用意しておけば、一つが使えなくなっても次の手段へ移れます。
インターネット回線にも「次の手」を用意する
会社のITは、インターネットが止まると一気に使えなくなることがあります。
クラウドストレージ。
メール。
Web会議。
クラウド電話。
業務システム。
そのため固定回線が止まった場合に
- スマートフォンのテザリング
- モバイルWi-Fi
- 5G・LTEルーター
- 別系統の回線
などへ切り替えられるか考えておきます。
必ず2本の固定回線を契約しなければならない、という話ではありません。
会社の規模や、通信が止まったときの影響によって必要な備えは変わります。
「今の回線が止まったら、次は何を使うか」
だけでも決めておくと違います。
停電対策で考えたいUPS
通信回線が生きていても、社内の機器へ電気が来なければ利用できません。
そこで使われるのがUPSです。
UPSは
Uninterruptible Power Supply(無停電電源装置)
の略です。
停電が起きた際、内蔵バッテリーから一定時間電力を供給します。
例えば
- ONU
- ルーター
- ネットワークスイッチ
- Wi-Fiアクセスポイント
- NAS
- 小型サーバー
などを保護する方法があります。
短時間の停電なら、そのまま通信や業務を続けられる可能性があります。
NASやサーバーでは、停電が長引いた場合に安全にシャットダウンする時間を確保するという重要な役割もあります。
UPSは「何時間でも使える非常用電源」ではありません
UPSを導入すると
「停電してもずっと動く」
と思われることがあります。
しかしUPSのバックアップ時間には限りがあります。
接続する機器が増えるほど、利用できる時間も短くなります。
そのため
コピー機。
全社員のデスクトップPC。
モニター。
ネットワーク機器。
NAS。
すべてを一つのUPSへつなぐ、という考え方ではありません。
まず
停電時にも守りたい機器は何か
を選びます。
例えば
「ONU・ルーター・ネットワーク機器は一定時間維持する」
「NASは安全に停止させる」
というように目的を決めてから、必要な容量を考えます。
長時間停電なら、UPSとは別の対策を考える
数時間、数日と停電する可能性まで考えるなら、UPSだけでは足りません。
必要に応じて
- ポータブル電源
- 非常用発電機
- 車両からの給電
- 別拠点での業務継続
なども検討します。
ただし
UPSと長時間用の非常電源は役割が違います。
UPSは停電直後に瞬時に電源を引き継ぎ、短時間の業務継続や安全停止を支える設備です。
長時間の電源確保は、別の設備や運用方法で考えます。
データは「その場所が被災する」ことまで考える
会社のNASへ毎日バックアップしている。
これは大切な対策です。
しかし
PCもNASも同じ事務所にある。
火災や水害で両方が被害を受ける。
となれば、バックアップも一緒に失う可能性があります。
BCPでは
同じ災害で一緒に失わない場所へデータを残す
ことも考えます。
例えば
社内NAS。
別拠点。
クラウドストレージ。
外部バックアップ。
など、重要度に応じて複数の保存先を組み合わせます。
そして以前の記事でも触れたように
バックアップは「取れている」だけではなく、本当に戻せるか確認すること
も重要です。
停電後に「何から復旧するか」も決めておく
設備をそろえていても
「誰が何を確認するの?」
となれば、緊急時に迷います。
例えば復旧の順番を
- 人の安全を確認
- 電源状況を確認
- インターネット回線を確認
- ルーター・ネットワークを確認
- 電話を確認
- サーバー・NASを確認
- 業務システムを確認
というように決めておきます。
また
通信会社へ連絡する人。
IT保守会社へ連絡する人。
社員へ周知する人。
お客様へ案内する人。
役割も簡単に決めておくと動きやすくなります。
まずは「止まると困るもの」を3つ挙げてみる
BCPという言葉を聞くと
「大企業が作る立派な災害マニュアル」
に感じるかもしれません。
でも、小さな会社ならもっとシンプルに始められます。
例えば
①電話
止まったら、お客様からの連絡をどう受ける?
②インターネット
止まったら、代わりの通信手段はある?
③データ
PCやNASが壊れたら、別の場所から戻せる?
まず、この3つだけでも構いません。
そして
「代わりはあるか?」
を考えます。
TrusKiteでは「止めない」だけでなく「止まった後」まで考えます
TrusKiteでは、単に機器を販売して設置するだけではなく
その会社で何が止まると困るのかを確認しながら、IT環境を考えます。
例えば
- 電話のクラウド化
- スマートフォン・PCでの会社番号利用
- インターネット回線と代替通信手段
- ONU・ルーター・NASなどへのUPS導入
- ネットワーク構成
- データバックアップ
- 遠隔サポート
- 障害時の連絡方法
- 復旧手順の整理
などです。
すべての会社に、大掛かりな設備が必要なわけではありません。
むしろ
今ある環境で、どこが一番止まりやすく、止まると何が困るのか。
そこから優先順位を付けることが大切です。
BCPは「設備を買うこと」ではありません
UPSを買った。
クラウド電話を導入した。
バックアップ回線を契約した。
それだけでBCPが完成するわけではありません。
本当に大切なのは
いつもの方法が使えなくなったとき、次の方法へ切り替えられること。
です。
電話が止まれば別の連絡方法へ。
固定回線が止まればモバイル回線へ。
電源が止まればUPSへ。
事務所が使えなければ別の場所へ。
データが壊れればバックアップへ。
一つの仕組みに依存しすぎず、小さな逃げ道をいくつか用意しておく。
それだけでも、会社の強さは変わります。
明日の朝、いつもの設備が使えなくても
「次はこうしよう」
と言える状態を作る。
それが、小さな会社でも始められるBCP対策です。
※BCP:Business Continuity Planの略で、災害・事故などの緊急事態でも重要業務を継続し、早期復旧するための事業継続計画です。
※UPS:Uninterruptible Power Supplyの略で、停電などの電源障害時に一定時間電源を供給する無停電電源装置です。
※UPSのバックアップ時間は、製品の容量や接続する機器の消費電力、バッテリーの状態などによって異なります。
※クラウド電話も通信回線、携帯電話網、クラウドサービス等の障害によって利用できなくなる場合があります。
※必要なBCP対策は、事業内容、利用設備、必要な復旧時間などによって異なります。