中小企業にセキュリティ対策は不要?守るべきものから考える現実的な対策

中小企業にセキュリティ対策は不要?「全部やる」ではなく、守るべきものから考える
サイバー攻撃や情報漏えいのニュースを見ると、
「うちのような小さな会社まで狙われるのだろうか」
と思う方もいるかもしれません。
反対に、
「セキュリティ対策をするなら、高価な製品をいくつも導入しないと意味がないのでは?」
と感じることもあると思います。
TrusKiteでは、どちらも少し違うと考えています。
中小企業にもセキュリティ対策は必要です。
ただし、大企業とまったく同じ仕組みを導入する必要があるわけではありません。
大切なのは、
自分たちの会社では、何を守らなければ仕事が続けられなくなるのか。
そこから考えることです。
「小さい会社だから狙われない」とは言い切れない
サイバー攻撃というと、大企業や有名企業が狙われるイメージが強いかもしれません。
しかし、実際には企業規模を問わず被害が発生しています。
警察庁が公表している2025年のランサムウェア被害では、報告された226件のうち143件が中小企業でした。
「有名な会社だから狙われる」というより、
古い機器が残っている。
パスワードが弱い。
多要素認証を使っていない。
更新されていないシステムがある。
そうした侵入しやすい場所があれば、会社の規模に関係なく被害を受ける可能性があります。
中小企業だからセキュリティ対策が不要なのではなく、
中小企業だからこそ、限られた予算の中で何を優先するかが重要
だと思います。
セキュリティ対策は「高価な製品を買うこと」ではない
セキュリティ対策という言葉を聞くと、
高性能なファイアウォール。
EDR。
SOC。
ゼロトラスト。
高度な監視サービス。
そのような製品や仕組みを思い浮かべることがあります。
もちろん、会社の規模や扱う情報によっては必要です。
しかし、数人から数十人規模の企業が最初に考えるべきことは、それだけではありません。
例えば、
- Windowsやソフトウェアを更新する
- 多要素認証を有効にする
- 一人ずつ別のアカウントを使用する
- 管理者権限を必要以上に与えない
- 退職者のアカウントを適切に停止する
- 重要なデータをバックアップする
- バックアップから本当に復元できるか確認する
- PCや利用サービスを一覧にする
- 不審なメールを受け取ったときの相談先を決める
こうしたことも、すべてセキュリティ対策です。
大きな費用をかける前にできることは、意外とたくさんあります。
まず「何を守るのか」を整理する
セキュリティ対策を考えるとき、最初から製品を選ぶ必要はありません。
先に確認したいのは、
会社にとって失うと困るものは何か
です。
例えば、
顧客情報。
見積書や請求書。
設計データ。
契約書。
メール。
会社のホームページ。
Microsoft 365やGoogle Workspaceのアカウント。
会社によって重要なものは違います。
さらに、
「これが1週間使えなくなったら仕事を続けられるか」
と考えてみると、優先順位が見えやすくなります。
例えば顧客管理システムが停止しても紙の資料から復旧できる会社と、すべての受注業務が停止してしまう会社では、必要な対策も変わります。
守るものが分からないままセキュリティ製品を買っても、必要な場所を守れているとは限りません。
最初に優先したいのは「基本的なこと」
専任のIT担当者がいない中小企業であれば、まず基本的な部分を確認することをおすすめします。
アカウントを守る
Microsoft 365、Google Workspace、クラウドサービスなどでは、多要素認証を利用します。
パスワードが漏れてしまっても、それだけではログインできない状態を作るためです。
また、社員同士で同じアカウントを共有するのではなく、一人ずつアカウントを分けることも重要です。
誰が何をしたのか確認できる環境を作ります。
PCを更新する
Windowsやアプリケーションの更新を放置すると、すでに知られている脆弱性が残った状態になることがあります。
すべてを常に最新版へ変更すればよいという意味ではありませんが、セキュリティ更新を適切に管理する仕組みは必要です。
バックアップを取る
ランサムウェアや故障に備えて、重要なデータは別の場所にも保存します。
ただし、
「バックアップを取っています」だけでは十分とは限りません。
実際に戻せるのか。
どこまで戻せるのか。
復旧にどれくらい時間がかかるのか。
ここまで確認して初めて、会社を守るバックアップになります。
退職者や不要なアカウントを残さない
社員が退職した後もアカウントが有効なままだったり、何年も使っていないアカウントが残っていたりすると、それ自体がリスクになります。
誰がどのアカウントを持っているのか。
定期的に確認することも立派なセキュリティ対策です。
「全部禁止すれば安全」でもない
セキュリティを強く意識すると、
USBメモリは禁止。
クラウドは禁止。
個人端末は禁止。
生成AIは禁止。
社外からのアクセスは禁止。
という方向へ進みやすくなります。
確かに禁止すれば減らせるリスクもあります。
しかし、仕事が極端に不便になれば、社員が別の方法を探し始めることがあります。
会社が認めていないクラウドサービスを勝手に使う「シャドーIT」が発生すれば、かえって管理できなくなる可能性もあります。
大切なのは、
危険だから全部禁止することではなく、安全に使える方法を決めること
です。
セキュリティと業務効率のどちらか一方だけを考えるのではなく、両方を成立させる必要があります。
反対に「全部導入」する必要もない
セキュリティ製品には優れたものがたくさんあります。
しかし、良い製品だからといって、すべての会社に必要とは限りません。
例えば社員が5人の会社と、500人の会社では管理方法が違います。
扱う情報が一般的な会社案内や見積書中心なのか、医療情報や大量の個人情報を扱うのかによっても必要な水準は変わります。
取引先から求められる基準もあります。
つまり、
会社の規模、業務内容、扱う情報、取引条件によって適切な対策は変わります。
セキュリティ対策は、製品をたくさん入れた会社が一番安全という単純なものではありません。
導入しても誰も管理していない。
警告が出ても誰も確認しない。
設定方法が分からず初期状態のまま。
それでは十分に活用できません。
導入した後に自分たちで管理できること
も、製品選びと同じくらい重要です。
中小企業でも取引先との関係で重要になる
セキュリティは、自社だけの問題でもなくなっています。
例えば自社が大企業から仕事を受けている場合、自社のPCやアカウントを経由して取引先へ被害が広がる可能性があります。
そのため、取引先からセキュリティ対策について確認される場面も増えていくと考えられます。
経済産業省でも、サプライチェーン全体のセキュリティ水準を確認するための「SCS評価制度」の準備が進められています。
これはすべての中小企業へ一律に高額なセキュリティ製品の導入を義務付ける制度ではありません。
重要なのは、
「うちは小さい会社だから関係ない」と考えないこと
です。
今後は、きちんとIT環境を管理していること自体が、取引先からの信用につながる場面も増えてくると思います。
中小企業だからこそ「優先順位」を決める
予算も人員も無限ではありません。
これは中小企業だけではなく、どの会社でも同じです。
だからこそ、
一番危険なところはどこか。
止まると困る業務は何か。
失ってはいけない情報は何か。
今すぐできる対策は何か。
という順番で整理します。
例えば、
第一段階
アカウント、パスワード、多要素認証、Windows Update、バックアップを確認する。
第二段階
PC、ネットワーク、クラウドサービス、管理者権限を整理する。
第三段階
会社のリスクに応じて、EDR、端末管理、ログ監視などを検討する。
このように段階的に進めても構いません。
最初から100点を目指した結果、費用が高すぎて何もしない。
それよりも、
できるところから確実に対策していく方が現実的です。
セキュリティ対策は「会社を止めないため」のもの
セキュリティというと、情報漏えいを防ぐことばかり考えてしまいます。
しかし中小企業にとって、もう一つ大きな問題があります。
仕事が止まることです。
メールが使えない。
顧客データが開けない。
受注システムが動かない。
PCがすべて使えない。
ホームページが改ざんされる。
こうした状態が数日続くだけでも、会社によっては大きな損失になります。
セキュリティ対策は、
攻撃を100%防ぐためだけのものではありません。
もし何か起きたときにも被害を小さくし、できるだけ早く仕事へ戻れる状態を作る。
そこまで含めて考える必要があります。
「何をすればいいか分からない」状態から整理する
中小企業のセキュリティ対策で一番難しいのは、
「必要なのは分かるけれど、何から手を付ければよいのか分からない」
という状態かもしれません。
TrusKiteでは、最初から特定の製品を導入することを前提にはしていません。
現在使っている、
PC。
ネットワーク。
Microsoft 365やGoogle Workspace。
クラウドサービス。
バックアップ。
アカウント。
Webサイト。
などを確認し、
現在どこまでできていて、何が不足しているのか
を整理するところから考えます。
既存の環境で改善できるのであれば、まずそこから。
追加の製品が必要であれば、その理由を整理してから導入する。
中小企業だからセキュリティ対策は不要。
反対に、セキュリティのためなら何でも導入する。
そのどちらでもなく、
会社に必要なものを、管理できる範囲で一つずつ整える。
それが、中小企業にとって現実的なセキュリティ対策だとTrusKiteでは考えています。